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大阪万博がきっかけで動く歩道が広く普及
写真:1893年シカゴ万博のカジノ埠頭の「動く歩道」

大阪万博がきっかけで動く歩道が広く普及

2024.09.06

~動く歩道の万博デビューは1893年シカゴ万博~

駅や空港、大型施設・店舗などで見かける「動く歩道」。日本で普及したのは、1970年大阪万博がきっかけでした。

大阪万博に登場した動く歩道の名は「トラベーター」。それが体験できたのは「三菱未来館」です。全館が5つの部屋に分かれていて、ほぼ全部を動く歩道で移動するという趣向です。長さは全長約152m。速さは毎分16m、1km/hにも満たないゆっくりとしたものでした。パビリオンのテーマは「50年後の日本 陸・海・空」。「人間の働く時間は1日4時間になる」「世界中のテレビ中継が見られる」「がんは克服され、交通事故の時以外は手術が不必要になる」「家事はすべて機械がやるため、主婦は電子チェアに座ってボタンを押すだけとなる」といった50年後の未来をじっくり見るには、これぐらいの速さがよかったのでしょう。

万博の歴史をさかのぼると、初めて動く歩道が登場したのは1893年のシカゴ万博です。動力は10台の電車用モーター。速さは4.8km/hと9.6km/hの2パターンあり、スピードの違う歩道に乗り移ることが可能だったようです。動く歩道のルートはミシガン湖に突き出た埠頭1.6kmを回るもの。動く歩道にはベンチが備え付けられていて、観覧車のように座って景色を眺められました。

1900年の第5回パリ万博にも動く歩道が登場しています。3.6kmの動く歩道は万博会場内の交通手段の一つでした。この動く歩道も速度の違う2種類が用意されていて、3.6km/hと7.2km/h。こちらもシカゴ万博のものと同様に、交互に乗り換えができました。この動く歩道には手すりはないので、どこからでも乗車可能です。動かない一般の歩道から、動く歩道に備え付けられたポールにつかまって、ひょいと遅い方の歩道に乗り、すぐ横を走る速い方に乗りたければ、同じ要領で移動ができます。手すりがないのでバランスを崩して転倒する人もいたそうです。

この第5回パリ万博では「電気館」が中心的なパビリオンになっており、電気を使ったアトラクションとして、この動く歩道と、並行して走る電車が目玉となりました。とくに動く歩道はエッフェル塔と人気を二分するほど多くの人を魅了したそうです。

動く歩道は、その後「愛・地球博」でも活躍しました。段差ゼロのフルフラット構造なので、車イスなどでも安全に乗れたり、屋外で雨に濡れても安全という滑りにくい工夫がされていました。動く歩道は仕組みがシンプルなだけに、アイデアを生かしやすい乗り物なのかもしれません。

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