出展:国立国会図書館「博覧会-近代技術の展示場」
世界的ブランドへの第一歩は万博だった
2024.09.06
ヘレンド、クリストフル、バカラ、エルメス……
万博が世界的ブランドへの登竜門だったという歴史があります。
例えばヨーロッパを代表する陶磁器ブランド「ヘレンド」。創業から16年でハンガリーの帝室・王室御用達の磁器製作所として承認されるほど上質な磁器をつくっていましたが、世界に名を知られるようになったのは、1851年の第1回ロンドン万博です。出展されていた作品をヴィクトリア女王が気に入り、ディナーセットを注文します。それによってヘレンドが世界的ブランドに成長するきっかけになりました。ちなみにディナーセットの絵柄は「ヴィクトリア」と呼ばれ、ヘレンドを代表するものになっています。
ナポレオン三世の強力な支援で開催された1855年第1回パリ万博では、グランプリ、金・銀・銅賞による4段階評価が始まりました。ロンドン万博でも評価はされていましたが、パリ万博では審査方法など選定基準が厳格化されました。それによってグランプリを獲ることはお墨付きを与えられることになり、ブランドとしての地位を確立する足がかりになったのです。代表的な例を紹介しましょう。
例えばクリスタルガラスメーカー「バカラ」。1851年の第1回ロンドン万博から出展していましたが、第1~3回のパリ万博において、3回連続グランプリを受賞し、フランス王室御用達に。のちにモナコ王妃など世界のセレブリティに愛されるブランドに成長します。
フランスの銀器メーカー「クリストフル」も、パリ万博の第1、2回と続けてグランプリを獲得しています。ナポレオン三世は1200人分の銀食器を注文したとされます。また、1867年パリ万博のセレモニーで使われたことが、クリストフルの世界的名声を高めました。
「エルメス」も1837年に創業してしばらくは、小さな馬具工房でした。その技術が知られるようになったのは第1回パリ万博。女性用の鞍で銀賞を獲得。第3回パリ万博でグランプリを獲得したことで、現在も本店を構えるフォーブル街に社屋を建て、ヨーロッパ全土にその名が知られるようになります。
それ以外にも、「ルイ・ヴィトン」は旅行用トランクを製造し、第2回パリ万博において銅賞を、第4回パリ万博でグランプリを受賞し、世界各国の貴族が顧客に名を連ねるようになります。また「ティファニー」は、第3回パリ万博において銀器でグランプリを受賞し、それぞれ世界進出の足がかりを築きました。
万博でその品質が認められて以来、100年以上の時を経て、いまも世界的ブランドであり続けているのも一流の証です。